クラフト 一覧 - コピック公式サイト https://copic.jp/interview_cat/craft/ コピックは、Tooグループが開発したアルコールマーカーをはじめとする画材ブランドです。 イラスト、アート、デザイン、クラフトなど幅広い分野で活用されており、 現在は70ヶ国を超える世界各国で多くの方に愛用されています。 Fri, 16 Feb 2024 08:01:15 +0000 ja hourly 1 宗のりこ https://copic.jp/interview/craft/sounoriko/ Tue, 20 Apr 2021 02:37:51 +0000 https://copic.jp/?post_type=interview&p=11288    宗のりこ 刺繍作家。広告代理店のデザイナーを経て、2011年日本手芸普及協会刺繍指導員の資格を取得。「物語のある刺しゅう」をテーマに図案をデザイン・制作している。色彩豊かで遊び心あふれるオリジナル図案を使った作品ア […]

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宗のりこ

刺繍作家。広告代理店のデザイナーを経て、2011年日本手芸普及協会刺繍指導員の資格を取得。「物語のある刺しゅう」をテーマに図案をデザイン・制作している。色彩豊かで遊び心あふれるオリジナル図案を使った作品アレンジが人気で、書籍や雑誌掲載も多数。不定期でワークショップやネットショップ「ちいさいおみせ(オリジナルクロスステッチ図案・キット販売)」を開催。
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クロスステッチを得意とする刺繍作家の宗のりこさんは、ご本人が作品作りの時に大切にしていると語る通り、物語を連想させるような可愛らしいモチーフの作品が特徴です。刺繍にコピックを少しプラスするだけでいつもの刺繍の表情が変わって見える、お絵かき刺繍について教えていただきました。

— 刺繍の魅力を教えてください。

針と糸だけで、日々の暮らしを彩る作品を作ることができるのが刺しゅうの最大の魅力です。飾ったり、身に着けたり、手で生み出された刺しゅうがそばにあるだけで、心も豊かになる気がします。

— 作品を作る時に一番大切にしている事はなんですか?

「そこに物語はあるか」ということに一番重きを置いてデザインするようにしています。見ているとその奥にある物語が想像できる作品が作れたら幸せです。

— コピックとの出会いを教えてください。

20代のころ、絵本作家に憧れて絵を描いていた時に使用していました。絵本を描きたくて頑張った時期もありましたが、見返してみるととてもお見せできるようなものではなかったのでそっと寝かせておきます。

— コピックの好きな色はありますか?

沢山ありすぎて選ぶのが難しいですが、G29など緑系が好きです。色が豊富なので、コピックコレクションアプリ(※所有しているコピックの色管理が行える専用のスマホアプリ)がとても便利でよく活用しています。

とても研究熱心な宗さん。コピックインクとカラーレスブレンダーを垂らす順番を変えることによって作品の仕上がりが全く変わるそうです。

— コピックでの着色は、どのような部分が一番楽しいですか?

カラーレスブレンダーで透明感のあるインクが水のように滲むのがとても楽しかったです。滲みの表情が毎回違うので、同じものを作るのは難しかったですが、逆に言えるのは、どの作品も唯一無二のものになるということが魅力でもあると思いました。

— コピック×刺繍の組み合わせについて、どのような楽しみ方がおすすめですか?

布との相性がとても良いので、簡単なステッチを施した布をコピックで着色する「お絵描き刺しゅう」がおすすめです。

コピックインクだけでなくコピックスケッチを使って女の子の肌の繊細な着色もされていました。刺繍でアウトラインを取って、わざとはみ出させてしまっても可愛く仕上がっています。

— 刺繍をした事がないという方へ、何かアドバイスをお願いします!

小学生の時に習った「本返し縫い」を覚えていたら、それはフランス刺しゅうの技法「バックステッチ」と同じ構造なので、おうちにある針と糸、それにコピックがあればすぐにでも「お絵描き刺しゅう」が始められます。
刺しゅうは難しそうだから、と気負わずに、絵を描くのが得意であれば、まずは布にコピックで絵を描いて、縁取り線を「本返し縫い」してみてください。それだけでスペシャルな刺しゅう作品の出来上がりです。初めての方は100円ショップにあるような刺しゅうキットから始めるのもありだと思います。「面を刺し埋める」という作業が初心者様にはハードルが高いので、まずは線の刺しゅう(バックステッチ、アウトライン等)を練習しましょう。イラストの縁取り線を刺しゅうができたら、コピックで色塗りしてみるのはいかがでしょうか。

日本ヴォーグ社が発行する刺繍の雑誌「スッテチイデー vol.33」で、宗のりこさんの提案する「お絵かき刺繍」が掲載されました。ぜひお手にとってご覧ください。

※使用上のご注意
コピック(コピックインク)は描画用マーカーで、布専用のマーカーではありません。着色する素材によっては色落ちや色移りが起こる場合もありますので、ご了承いただいた上でお楽しみください。

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nekogao https://copic.jp/interview/craft/nekogao/ Tue, 20 Apr 2021 02:04:35 +0000 https://copic.jp/?post_type=interview&p=11275 nekogao 猫刺繍作家。猫をモチーフにした布小物刺繍作品を手掛ける。イベントや作品展への出展や、書籍・雑誌での作品掲載などの他多数メディアでも紹介されている。また、売り上げの一部を恵まれない猫たちの保護活動などをして […]

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nekogao

猫刺繍作家。猫をモチーフにした布小物刺繍作品を手掛ける。イベントや作品展への出展や、書籍・雑誌での作品掲載などの他多数メディアでも紹介されている。また、売り上げの一部を恵まれない猫たちの保護活動などをしている団体に寄付するなどの慈善活動も行っている。書籍『nekogaoの刺繍ブローチと小物』
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なんとも言えない表情の猫達に様々なモチーフの刺繍がされたブローチなどが代表作のnekogaoさん。猫好きにはたまらないアイテムばかりで、作品達は出品するとすぐに売り切れてしまうほど大人気です。今回nekogaoさんにはコピックで糸を染めて楽しむ刺繍について教えていただきました。

— 刺繍の魅力を教えてください。

自分の家で1人で黙々と出来ること。ひと針ひと針進める刺繍、向き合う時間が長いので愛着が湧きます。使う糸の色、生地との色の組み合わせ、色選びも楽しいです。

— 作品を作る時に一番大切にしている事はなんですか?

一番大切なのは猫達への敬意です。
親しみやすい緩さのある作風にしたいので、神経質になり過ぎないように気を付けています。

コピックスケッチで染めた糸で刺繍した猫(左)と刺繍してから着色した猫(右)

— コピックで好きな色を教えてください。

BG09、G99、E87、E81、RV42などです。

— コピックでの着色は、どのような部分が一番楽しいですか?

好きな色に、多数の色を使って染めることが出来る事、とても手軽で簡単な事。コピックでどんな事が出来るのか可能性を考えるワクワク感。

コピックインクで束ごと染めた糸と、コピックスケッチで細かく染めた糸の見本

— コピック×刺繍の組み合わせについて、どのような楽しみ方がおすすめですか?

先に糸に着色して刺繍をしたらどんな風に模様が出るのか、という楽しみ方もありますが、先に白い糸などで刺繍をしてから後で着色するというのも自由でとても楽しいです。コピックがあれば手持ちの糸の色が少なくても着色で彩りを楽しめます。
真っ白な糸以外にも、薄めの色の糸に着色するのも面白いかと思います。

— 刺繍をした事がないという方へ、何かアドバイスをお願いします!

刺繍は糸と針と布があれば、割と気軽に出来てしまいます。コピックで着色したカラフルな糸は難しいステッチをしなくてもざっくりとしたステッチを自由に刺すだけで、良い感じの作品になります。
コピックで染めると糸が少しきしむので、初めての方はまず染めてない糸で刺繍し、その後に着色をするのもおすすめです。簡単なステッチでしたら先に染めてあっても大丈夫だと思います。

日本ヴォーグ社が発行する刺繍の雑誌「スッテチイデー vol.33」で、nekogaoさんの提案するコピックインクで刺繍色をオリジナルに染めるテクニックが掲載されました。ぜひお手にとってご覧ください。

※使用上のご注意
コピック(コピックインク)は描画用マーカーで、布専用のマーカーではありません。着色する素材によっては色落ちや色移りが起こる場合もありますので、ご了承いただいた上でお楽しみください。

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Astuary Art https://copic.jp/interview/craft/astuary-art/ Thu, 15 Apr 2021 03:05:22 +0000 https://copic.jp/?post_type=interview&p=11004 Astuary Art by Marissa Recker (アストアリーアート by マリッサ・レッカー) インクアーティスト。米、ミネソタ州出身。コピックインクをはじめ様々なインクとミディアムを使い、アブストラクトア […]

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Astuary Art by Marissa Recker (アストアリーアート by マリッサ・レッカー)

インクアーティスト。米、ミネソタ州出身。コピックインクをはじめ様々なインクとミディアムを使い、アブストラクトアートを展開する。インスタグラムのフォロワーは11万人を超え、自身のyoutubeチャンネルではアート制作のプロセスを公開、オンラインクラスも開催している。心の内面を表現するような深みのあるブルーやグレーの色使いが印象的で、偶然性が醍醐味と言えるインクアートの可能性を探求している。

Instagram / Website

ー 自己紹介をお願いします。

Astuary Artのマリッサ・レッカーです。アルコールインクを使ったアブストラクトアート(抽象画)を制作しています。アメリカのウィスコンシン在住で、絵を描くことが大好きです。もともと物を作ることが大好きでしたが、Astuary Artとしては4年前から活動を続けています。創作以外の時間は、愛する家族と3匹のコーギーと楽しく過ごしています。

インクアートを始めたきっかけを教えてください。

友人からアルコールインクアートについて話を聞いたのがきっかけです。その直後、お店でインクを見つけて試したところ、あっという間にその虜になりました。アートをしっかりと学んだのは高校のときだけで、その時の美術の先生が本当に素晴らしい方で、私がアートを志すのを応援してくれました。彼女にはとても感謝しています。

ーどんなものにインスピレーションを受けますか?

色が惹き起こす感情的なものにインスピレーションを感じます。何か特別な感情やストーリーを感じさせる色が好みです。また季節の変化も重要で、実際、私の色のチョイスはそれぞれの季節感を反映しています。

「Awakening(めざめ)」

ー最新作と過去の作品シリーズについて教えてください。

創作を始めて以来、アルコールインクを常に使ってきました。最初はテクニックを習得するため小さなサイズから制作を始め、徐々に慣れてきたら大きなサイズに移行し、他の画材も併用して、メッセージを込めるようにしています。最新作は、「Awakening(めざめ)」と「Rest (休息)」シリーズです。「Awakening」は、明るく鮮やかなパープルを使い、人々の成長を象徴する力強いタッチで、現在の困難な状況を生き抜く喜びを表現しました。「Rest 」では、深く落ち着きのあるブルーを使って、自分を労ることや省みることの大切さを表現しました。

「Rest (休息)」

ーインクアートを作る楽しさは何でしょうか?

色の鮮やかさは、他に勝るものなしと言えます。色が生き物のように動き、流れていきます。インクアートは紙だけでなく、様々なミディアムにも使用できます。色の動きを眺めているといつも新しい発見があり、他のミディアムを使った時、色がどう反応するか、私は常に学んでいます。

ーあなたのインクアートクラスについて教えてください。

私が目指しているのは、インクに関する知識を可能な限り多く伝えることです。自分のyoutubeチャンネルをもっていますが、今後はもっとコンテンツを増やしていきたいですね。また、世界中の生徒さんにZoomでインクアートを教えています。インクアート初心者向け、ミクストメディア、キャンバスに描くインクアートなど、テーマ別のオンラインクラスも始めました。私と生徒さん、一体一でやるクラスもあります。

ーコピックで好きな色は何ですか?

私の大好きな色はこちらです。どれも無色のアルコールと混ぜると美しく色が広がります。

常にお気に入りなTop 9 : RV69, E04, R20, B99, BG78, BV23, V09, RV99, N7

寒色系のお気に入りTop 9: B69, B99, B34, BG72, BG78, G29, BV23, V09, RV99

暖色系のお気に入りTop 9 : R89, RV69, E04, RV95, R24, R20, E19, E99, Y26

私のウェブサイトでコピックインクの色見本を公開しています。ダウンロード可能ですのでご覧ください。

ーどんな紙を使っていますか?

LegionのYupo紙がお気に入りです。最近はキャンバスやリネンを使うこともあります。キャンバスなら Fredrixの水彩用がおすすめです。

ーインクアートにおすすめの道具はありますか?

一番重要なものは、ピペットと無色のイソプロピルアルコール(度数91%のものを使っています)です。次は、ドライヤー(ヒートガン)、メタリックインク、アクリルなどのいろいろな素材です。インクアートの可能性は無限大ですね。

ーインクアートの制作プロセスを教えてください。

インクアートの醍醐味は、作り手の意図と、意図しないインクの動きのバランスをとることです。作り始めの段階でどんなアイデアを持っていても、インクの動きは必ずしもその通りにはなりません。そこで、動きに合わせて、自分のアイデアも変化させるのです。

ーインクアートで重要なこと、うまくいくコツは何でしょうか?

まず皮膚にインクがつかないように、必ず手袋を着用しましょう。より軽やか空気感を表現するのには、無色のアルコールインクを多く使って、色を押したり引いたりするのがとても重要です。

ーコピックを使い始めたのはいつからですか?

2018年に友達からインクアートを勧められた後すぐです。コピックを選んだ理由は何と言っても豊富な色数です。これほどの色の種類があるブランドはありません。他のブランドのインクも試してみましたが、コピックほど色が美しくブレンドされて広がるものはありませんでした。コピックは私にとってのベストブランドです。

ーコピックインクの使い心地はいかがですか?

コピックインクは本当に素晴らしい製品です。品質の面で言えば、他のブランドは太刀打ち出来ないでしょう。他ブランドではこの色の美しさや動きを表現できないでしょう。それと、いつ新しい物を買っても、コピックは色が一定です。他のブランドでは残念ながら、色が少し異なったり、安定していないものも見受けられます。

ーあなたのインスタグラムでは、インクアートをインテリアとして楽しむ方法を紹介しています。

私は作品をUVカットのガラスフレームに入れて飾っています。キャンバスで描いた場合は木製のフレームを使います。目を引くような巨大な作品から、小さくてもポップな色使いの作品まで、様々なインクアートを飾ってはいかがでしょう。インクアートは、どんな空間にも合う、落ち着いた存在感があります。いくつかの作品を組み合わせて、グループにして飾るのも良いでしょう。個人的には、3連続の絵にすることが多いですね。

ー今後の活動について教えてください。

私のウェブサイトでは、インクアートを学べるポータルを充実させています。加えて、Youtubeチャンネルでは、作品の制作開始から完了までを録画し、プロセスを解説するアートセッションを行っていて、今後はそちらの活動も頑張りたいと思います。人々にインクアートの魅力を伝える以外では、インクの可能性をもっと探求していきたいです。私は常に何かに突き動かされているように感じます。

日本ホビーショー2021で公開される新作

ーインクアートをこれから始める方へ、メッセージをお願いします。

私からのアドバイスは、とにかく作るプロセスを楽しむことです。インクはときに思い通りにならず厄介ですが、挑戦する価値はあります。私自身もうまくいかないことが多々ありますが、失敗から学べることも多いのです。挑戦が無駄になることはありません!

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劇団四季 https://copic.jp/interview/gekidanshiki/ Mon, 23 Dec 2019 06:14:09 +0000 https://copic.jp/?post_type=interview&p=5534 劇団四季 劇団四季とは、俳優・技術スタッフ・経営スタッフ約1300名で組織された、世界的に見ても最大規模の演劇集団。日本国内に専用劇場を持ち、ストレートプレイ(芝居)、オリジナルミュージカル、海外ミュージカル、ファミリー […]

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劇団四季インタビュー

劇団四季

劇団四季とは、俳優・技術スタッフ・経営スタッフ約1300名で組織された、世界的に見ても最大規模の演劇集団。日本国内に専用劇場を持ち、ストレートプレイ(芝居)、オリジナルミュージカル、海外ミュージカル、ファミリーミュージカルなど幅広いレパートリーを上演しており、年間の総公演回数は3000回以上、総観客数は300万人を超える。

日本を代表する演劇集団・劇団四季。劇団四季の衣裳部でコピックを長い間ご愛用いただいているという話をお聞きし、四季芸術センターへお邪魔させていただきました。知られざる日頃のお仕事の話をはじめ、一体どのように現場でコピックが使われているのか、気になるプロの技術などを技術部衣裳担当の渡邉さんと後藤さんにお話をしていただきました。

劇団四季 技術部衣裳担当 渡邉さん(左)、後藤さん(右)

劇団四季 技術部衣裳担当 渡邉さん(左)、後藤さん(右)

— 本日はよろしくお願いいたします。早速ですが、衣裳部ではどのようなお仕事をされているのでしょうか?

横浜にある劇団の本部・四季芸術センターでは『キャッツ』『ライオンキング』『アラジン』など、劇団四季で上演している衣裳のすべてを製作しております。製作といっても、生地づくり、縫製、修復など作業内容は多岐にわたります。

— すべての演目の衣裳をこちらで製作されているのですね。かなり多くの作業量だと思いますが、衣裳部に所属している方は何名いらっしゃるのですか?

衣裳部には50名所属しています。そのなかでも『キャッツ』の製作担当者は3名のみです。こちら(四季芸術センター)で日々の製作業務に関わるチームと、劇場で衣裳の修理等を担当する「本番付き」チームに分かれています。実際に衣裳製作ができるスタッフ数は少ないため、アルバイトのスタッフの方々と一緒に作業をしています。

衣裳部の作業場の一角

『キャッツ』コピック使用例

衣裳部の作業場の一角。『キャッツ』の衣裳やトルソーがずらりと並ぶ。

— かなりの少人数でそれぞれの演目を担当されているのですね。すべての衣裳デザインも衣裳部の方々が担当されているのですか?

特に海外で上演されている作品に関しては元々細かくデザインが決まっているものが多いので、いわゆる「衣裳デザイン」という業務はありません。ただ、例えばオリジナルの演目に関しては社内でデザインを起こすこともあります。小道具など他のチームの有志もデザイン案を出して社内コンペに参加できます。そこで選ばれたコンペ案を元にデザインを決定していくという流れになります。

— 四季の皆さまは以前からトゥールズ(コピックの直営店:旧店名は「いづみや」)のお客様ということで、コピックやリキテックスなどTooグループの製品を長くご愛用いただいていると伺いました。コピックはいつ頃から使用されているのでしょうか?

『キャッツ』の初演が1983年で、私(後藤さん)が入社した1995年頃には、すでにキャラクターに使用するコピックの色の指定がありました。ですからそれより前から使用していたということになります。元々コピックを使用しはじめる前から、いづみや(トゥールズの旧店名)で販売していたスピードライマーカー(※1)を購入して使っておりましたので、それらが廃番になるということで自然と後継モデルとして誕生したコピックに移行したようです。

※1 スピードライマーカー:マジックマーカーコーポレーションオブジャパン株式会社(米国マジックマーカー社と有限会社いづみやの合弁会社)が1969年より国内で生産開始したデザイン用マーカーの元祖。1987年のコピック発売までデザイン現場で広く使用された。

コピッククラシック

画材ケースにはキャラクターごとによく使う色番号のコピッククラシックが収納されている。手前の2本はデザインリニューアル前のコピックで20年以上前のものですが今でも現役で使えていますとのこと。

— コピックの販売当時からこれまでずっとお使いいただいているとは驚きました!長くご愛用いただきありがとうございます。製作段階ではどのような過程でコピックをお使いになっているのでしょうか。

主に衣裳に模様を直接描き込む際にコピックを使用しています。『キャッツ』の衣裳にはタイツが使われていますが、基本的にそれぞれの猫の模様をプリントした布を縫製して作っています。プリントしたものをタイツの形に縫製した段階でほとんど完成には近づいているのですが、猫の毛並みをより繊細に表現するためにコピックで1本1本描きこむ作業をしています。プリントしたのみだとぼやけた感じになってしまうので、それをブロードニブを使ってするどい線に見せています。あとは、縫製の段階で不自然なつなぎ目になってしまっているところに毛を描きたす作業などに使用しています。

『キャッツ』コピック使用例

衣装のタイツのつなぎ目の部分。このように、プリントされたままだと毛並みが途中で途切れて不自然な仕上がりになってしまうところをコピックで描きたしているそう。

— キャッツのタイツの柄はプリントされたものとのことですが、プリントでかなり細かい再現までできていると感じますが……?

プリントした布のままだと、繊維の粗さやその時の印刷の状態によって仕上がりも異なりますし納得のいくものは作れません。猫のするどい毛並みを繊細に表現するためには、やはり仕上げでコピックを使って模様を描きたし修正をする作業が必要になります。

— 備品棚に管理されているコピックはほとんどがコピッククラシックですね。

クラシックの大きめのブロードニブが使いやすいので、使っているのはほとんどがクラシックです。紙ではなく布に描いているためニブを傷めやすいのか、繊細な描き心地を出すために定期的にニブの交換をして使っています。あとは、このコピッククラシックの四角い形状が手にしっくりくるというのも使用している理由です。タイツをトルソーに着せて模様を描き込む時は、腕をあげたままや立ったままなど変わった体勢で長時間作業することが多いのですが、真四角なタイプのコピックだと手元を見なくても感覚でニブの角度を変えやすいので作業が効率的になります。

『キャッツ』コピック使用例

— コピックは基本的に紙とあわせて使用していただく画材ではありますが、布に直接描きこんで使用されているということで、気になった点をお聞かせください。衣裳は何度も洗濯されると思うのですが、色落ちはしませんか?

色落ちはほぼしません。というのも、着物を作る工程の中に蒸気をあてることで繊維の内部に染料を浸透させて色落ちを防ぐ「蒸し」という工程が存在するのですが、『キャッツ』の衣裳も色の定着のために蒸す工程を取り入れています。もちろん、俳優も汗をかきますし頻繁に洗濯もしますので、定期的に模様を書き足したりして常に綺麗な状態をキープしています。

— 着物づくりの工程に「蒸す」という作業が存在するとは知りませんでした。色々と試行錯誤して衣裳を作られてきたというのが伺えます。蒸す前後で着彩した色に変化はありませんか?

そうですね、使用する色によって程度はありますがどうしても蒸すと若干変わりますので、使用したい色と布の組み合わせのパターンをいくつか試して仕上がりが理想に近い色を探したり、あとは蒸しの作業の後に改めて色を重ねて調整しています。

— スピードライマーカーの時代からお使いとのことですので、(その後継品として発売された)コピックを使用されるようになったのは自然なことだったかもしれませんが、長くコピックを選びつづけていただいている理由がありましたら教えてください。

まずコピックには廃番の心配がない、というのが大きな理由です。四季は専用劇場を持っており、ロングラン公演を行うことが多いです。同じ公演を長期にわたって提供し続けるからこそ、途中で見た目に支障が出るような素材や画材の変更というのは避けたいところです。「このキャラクターにはこの色を使う」などのルールはすでに決めていますし、できれば変えたくないですね。ですので、色の廃番のリスクが低い製品だというのは重要な点です。
あとは、コピックはインクの補充やニブの交換ができて経済的かつゴミも出ないでエコに使用できるというのも選ぶ理由のひとつです。ニブ交換のほか、インク補充も日常的に行っていますよ。

『キャッツ』コピック使用例

— 特になくなったら困るという色はありますか?また、もし「こんな色がほしい」というご意見がありましたらお聞かせください。

黒です!ただ、100などの真っ黒な色ではなく、N-9T-10など、グレーの濃いトーンのものを重宝しています。俳優の汗や洗濯する時に使う水の違いによって、色落ちの感じも変わるのでその場合は使うグレーの種類を変えたりして思い通りの黒っぽい灰色を出せるように調整しています。
欲しい色に関しては、猫の毛にあうような深みのあるえんじ色を再現するため試行錯誤しているので、YR系統にもうちょっとバリエーションがあると嬉しいです。

— 貴重なご意見をありがとうございます!今後ともユーザーの皆さまに安心してお使いいただけるように一同精進いたします。本日はお時間をいただきありがとうございました。

劇団四季『キャッツ』公演情報

都会のゴミ捨て場に集まった24匹の猫たちがそれぞれの生き方を歌うミュージカル『キャッツ』。この作品は、1983年に東京・西新宿のテント式仮設劇場で初演。日本初のロングラン公演は、演劇界のみならず広く社会的な注目を集め、1年間という当時の誰もが想像し得なかった大ロングラン記録を達成した。日本の演劇界に数々の新風を巻き起こしてきた『キャッツ』は現在東京・大井町にて上演中。今回の東京公演は2021年夏の千秋楽が決定しており、東京フィナーレへのカウントダウンが始まった。

劇団四季ミュージカル『キャッツ』東京公演について

■公演期間:ロングラン上演中~2021年夏 千秋楽決定(※2020年12月31日(木)公演分まで発売中)
■会場:キャッツ・シアター(品川区広町2-1-18)
■アクセス:JR京浜東北線 大井町駅西口より徒歩5分、東急大井町線 大井町駅より徒歩5分、東京臨海高速鉄道りんかい線 大井町駅出口Bより徒歩5分
■予約方法:SHIKI ON-LINE TICKET(24時間受付)
劇団四季予約センター 0570-077-489(午前10時~午後6時)

撮影:下坂敦俊

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黃于珊 https://copic.jp/interview/yu-shan-huang/ Wed, 27 Nov 2019 09:45:05 +0000 https://copic.jp/?post_type=interview&p=4960 黃于珊(Yu-Shan Huang) 台湾出身・在住の人気クラフト作家。台湾で開いているクラフト教室「The Crafter 手創工房」にて講師を勤めているほか、クラフト作家として書籍の執筆も手がけている。コピックの公式 […]

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黃于珊(Yu-Shan Huang)

台湾出身・在住の人気クラフト作家。台湾で開いているクラフト教室「The Crafter 手創工房」にて講師を勤めているほか、クラフト作家として書籍の執筆も手がけている。コピックの公式作品コンテスト「コピックアワード」2017年度開催のクラフト部門では大賞を受賞し、日本ホビーショー2019のコピックブースで講師を務めるなど国内外で活動を行なっている。facebook:@SmallWorldOfShrinkPlastic

コピックのインクの透明度の高さがお気に入り

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— コピックを使い始めた時期と理由を教えてください

黃于珊さん(以下敬称略):学生の時に通っていた学校の、表現技法の授業のなかでコピックの存在を知りました。マーカーを使用して建築材料や木材・金属・タイルなどといった材質や質感を表現するという授業です。学生時代には多くのブランドのマーカーを試しましたが、コピックほど綺麗に半透明な色彩感が出せるマーカーはなくて使っていくうちにファンになりました。
私はコピックのインクの透明度の高さがとても気に入っているんです!透明度が高いおかげで、重ね塗りをすることでプラ板上でもとても綺麗なグラデーション効果を生み出すことができます。

— プラ板を使ったものづくりにコピックを愛用していただいているとのことですが、ものづくり自体はいつ頃から始められたのですか?

黃于珊:学生の時に始めました。手で何か作ることが好きだったので、時間に余裕があるときや誕生日などお祝いのイベントの時には手作りのプレゼントを作って、自分なりにお祝いしたい気持ちを表現していました。その頃からプラ板を使ったものづくりをしていて、コピックも使っていましたよ。アマチュアとしての活動でしたが、オーストラリアのメルボルンで開かれたホリデーアーティストマーケットに何度か参加したりしていました。本格的にクラフト作家として活動し始めたのは2016年に海外から台湾に戻ってからです。現在は仕事としてプラ板作品の制作やワークショップの開催、また、書籍の執筆などを行っています。

— コピックでよく使う(好きな)色はありますか? 

黃于珊:グラデーションを作るのが好きなので、近似色同士をよく使います。例えば青色を使用して描く時にはB00B12B24といったような組み合わせをよく使います。あとはBV00V000RV00R00YR00Y00YG00G00BG000などの淡めの色が使いやすくて好きです。

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— 00番系をよく使われているのですね。コピックの色番号を意識して色を選ばれているのですか? 

黃于珊:はい、コピックのカラーシステムは日頃から活用しています。プラ板に着色する場合は紙に着色するときと違って、繰り返し塗って色の濃さをうまく調節して色の修正をするということは難しいので、塗る前の彩色計画が重要になります。コピックには358色もの色数がありますが、体系的に色の性格ごとに分けられているカラーシステムがあるおかげであまり迷わずに色を選べてとても助かっています。

— コピックを使い続けたいと思えるポイントは何でしょうか?

黃于珊:コピックがとても使いやすいからです!20年前に台湾で購入したコピックは今も現役で使えています。インクが無くなっても補充できますし、ニブも交換できるので毎回新しいコピックを買わなくても良いというのはとても経済的でありがたいです。コピックにはアルコールマーカー特有の刺激臭が少なくて、匂いがきつくないところも嬉しいポイントですね。長持ちするし経済的なので自然とずっと使用し続けてきて、気付けばコピックの愛用者になっていました。
また、学校卒業後は海外での生活も長かった身としては、日頃から愛用している画材を各国で入手するのは結構難しいのですが、コピックはほとんどの国の現地で購入することができたので、その点でもとても助かりました。

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黄さんはプラ板を使って立体的でリアルな作品を制作する。日本ホビーショー2019のコピックブースで実施していただいたワークショップでも大人気だった。

— 長くご愛用いただきありがとうございます。コピックを長く使用されている黄さんですが、使っていくうちに見つけたテクニックなどがあれば教えてください。

黃于珊:通常、紙の上で行うコピックの塗り方やグラデーションやインクのぼかしなどをプラ板作品上に落とし込んでいることです。プラスチックにそのままインクを乗せるだけだと染料インクのコピックは色が定着しにくいのですが、プラ板の表面を細かいやすりでほんの少し傷つけることで凹凸を作って色が乗りやすいように工夫しています。

アワードでは世界中から応募される作品を楽しんでほしい

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コピックアワード2017のクラフト部門大賞を受賞した黄さんの作品。
こちらもプラ板で制作された蝶々で、標本のようなリアルさと繊細さが評価された。

— コピック30周年を記念して開催された第一回目のコピックアワードに参加していただいたことがきっかけで今回は黄さんにインタビューをさせていただきました。コピックアワードに参加されて抱いた感想を教えてください

黃于珊:コピックアワードへの参加は、学びの多い機会になったと思います。同じコピックを使用しているのに、応募されている参加作品はそれぞれ全く異なる精彩なものばかりで、しかも世界中から応募される作品を見ることが出来たのはとても勉強になりました。コピックを長く愛用している者として、コピックの公式コンテストに参加できる機会があったことはとても良かったですし、受賞のお知らせを聞いた時はとても感動しました。賞品のコピック全色セットは綺麗なアクリルケースに収納されていて、自分の名前が刻まれているのを見たときも最高に嬉しかったです!

— コピックアワードのクラフト部門大賞受賞後に何か変化はありましたか?

黃于珊:嬉しいことに私が開催しているクラフト教室の生徒の人数が増えたほか、ホビーショーのワークショップも含め色々な都市や書店でクラフトイベントに講師として招待していただいたりクラフト制作の依頼の機会も増えるなど、お仕事に良い影響がでていると感じました。

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2018年4月に開催された、コピックアワード2017の授賞式にて。
前列向かって左がイラスト部門大賞の陳裕旻さん、真ん中が黃于珊さん、右がデザイン部門大賞のNigel Müllerさん。
— そう仰っていただけて非常に嬉しいです。現在コピックアワードにご興味をお持ちの方にむけて何かメッセージをお願いいたします。

黃于珊:コピックアワードは、個展を開くといった活動以外に自分の芸術への情熱を外に発信できるとても良いコンテストだと思います。世界中から応募される作品を見ることができることが非常に有意義な交流の一つですし、国際コンテストイベントならではだと思います。芸術に対して情熱を持っている方はぜひこの機会を逃さずチャレンジしてみていただきたいです。受賞しなかったとしても、コピックアワードへの参加は素晴らしい経験になるかと思います。

黃于珊さんのプラ板アクセサリーメイキング動画

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動画内で作成しているちょうちょのテンプレートは上記からダウンロードしていただけます。

テンプレートのダウンロードについて

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小紙陽子 https://copic.jp/interview/kogami/ Wed, 25 Apr 2018 07:05:40 +0000 https://copic.jp/?post_type=interview&p=3585 小紙 陽子http://kogamicraft.com/ 千葉県出身。ペーパークイリング作家グラフィックデザイナーボタニカルクイリング・ジャパン クリエイティブアドバイザー植物をモチーフとしたボタニカルクイリング作品を多 […]

投稿 小紙陽子コピック公式サイト に最初に表示されました。

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小紙 陽子

小紙 陽子http://kogamicraft.com/

千葉県出身。
ペーパークイリング作家
グラフィックデザイナー
ボタニカルクイリング・ジャパン クリエイティブアドバイザー
植物をモチーフとしたボタニカルクイリング作品を多く手掛ける。

商業用のカレンダーや雑誌、新書などの表紙を飾ることも多く、活躍は多岐に渡る。
【クイリング関連の著書】
『細長い紙をクルクル巻いて作る ペーパークイリング』(雄鶏社)
『紙で楽しむ小さな手作り ペーパークイリング』(雄鶏社)

■ペーパークイリングとは
細く切った紙を巻いてパーツを作り、そのパーツを組み合わせて様々な形に仕上げるペーパークラフト。
中世時代のヨーロッパの修道女が本の端を切って、宗教的用具の飾りを作ったのが発祥とされる。
※『ボタニカルクイリング』は植物(ボタニカル)をモチーフとしたクイリングの一種。

まるで本物の植物と見紛うほどに、多彩に表現されたボタニカルクイリング作品を多く制作されている小紙先生。作品作りにはコピックが欠かせない、という小紙先生にコピックインタビューをさせていただきました。

コピックは重ね塗りで無限に色を表現できるのが魅力

― コピックを使い始めたきっかけと時期を教えてください。

小紙先生(以下、敬称略):コピックと出会ったのは、デザイン系専門学校の時に教材の一つとして支給されたのが最初でした。コピッククラシック36色セットかな? でもあまり授業では使いませんでした。
本格的に使い始めたのは、手芸関係のカタログを制作しているデザイン事務所にデザイナー兼イラストレーターとして入社した後、通販カタログに掲載する商品のレシピ(説明書)の図解を描くのにコピックを使用したのがきっかけです。
当時はアナログが主流でしたので、「線画をコピーして塗り絵のように描ける」「コピーのトナーが落ちない」「間違えてもすぐやり直せる」というコピックに感心した覚えがあります。水彩絵の具と違って乾くのも早いですしね。

― ペーパークイリングはいつ頃から始められたのでしょうか?

小紙:その会社で海外クラフトであるペーパークイリングのキットを販売する事になり、カタログに掲載する作例を作ったことがきっかけで始めました。最初は市販のキットを使用していたのですが、当事の社長からオリジナルのキット製品の企画を任され、オリジナルの作品を作り始めました。作り続けるうちに作品が集まったので出版社に売り込んでもらい、本を2冊出版しました。

ラフ
見本

― その時からコピックを使われていたのでしょうか?

小紙:いいえ。その時には市販のクイリング専用紙を使用して作っていました。
コピックをクイリングに使用し始めたことも、ボタニカルクイリングを始めたことも独立してからです。

― どのような経緯でコピックをクイリングに使うようになったのですか?

小紙:最初は市販のクイリング専用紙で作品制作をしていましたが、海外製だったため色が日本的ではないというか……ビビッドすぎて、微妙な表現や雰囲気が出せませんでした。
次に日本製の色紙(いろがみ)を使用してみましたが、今度は自分の表現したい色が見つけられなかったんですね。色幅はあったのですが、例えばピンク色といっても5、6色しかなかったので、求める色を表現できなかったのです。
そこで「コピックがあるじゃん!」と気がついて試しに塗ってみたら、自分の思い通りの色や雰囲気が出せたので、コピックを使用したクイリング制作を始めました。
コピックは重ね塗りで無限に色が表現できるのが良いですよね。それがコピックの魅力だと思います。準備や片付けも楽ですし。(笑)

重ね塗りでちょっとしたニュアンスや奥行き感を出す

― コピックで好きな色はありますか?

小紙:好きな色は植物が綺麗に表現できる色ですね。花を塗るならブルー系やピンク系の薄い色を混ぜたりするので、V000BV00が好きです。緑系だとYG01YG11G82はマストです。G40も切らしたら大変。あ、YG03は最近の流行です。(笑)

― 作品制作の際はどのようにコピックを使用するのですか?

小紙:あまり単色では使わずに、ほとんど重ね塗りをして使用しています。最近はアンティークっぽい雰囲気を意識しているので、明るい色に別な色を重ね塗りして、くすんだ表現を出しています。
例えば、これがYG01だけで塗った葉っぱ(画像内:左側)で、こっちがYG01V000を塗り重ねした葉っぱ(画像内:右側)なのですが、違いがわかりますか?

比較1

― 重ね塗りをした葉っぱのほうが、落ち着いた緑色になっていますね。

小紙:はい、重ね塗りをするとちょっとしたニュアンスや奥行き感が表現できるようになります。1個1個のパーツだと違いがわかりにくいと思うのですが、それらを組み合わせることで雰囲気のある作品に仕上がります。

― 制作時に使用している紙を教えてください

小紙:水墨画の練習用の紙を使用しています。和紙売り場で1枚1枚触って選びました。
白くて若干のテクスチャがある水彩紙のような感じですね。柔らかいけれどほどよいハリがあって、厚さもちょうど良いのでお気に入りです。
もちろんコピックとの相性もよく、発色がとても綺麗なので愛用しています。

― 小紙先生ならではのコピックのテクニックはありますか?

小紙:ならでは、ではないかも知れないのですが、やはり重ね塗りですね。必ず重ね塗りはします。
花の場合は、もともとの花の形が綺麗なのでただ塗っただけでも美しいのですが、葉っぱは自分で雰囲気を演出しなければ美しくならないんです。
葉っぱを塗る時は1枚1枚に微妙な色の差をつけたいので、塗る速度を調節しています。同じ色でも速く塗って薄くしたり、ゆっくり塗って濃くしたり……あとは塗り重ねる順番でも微妙なニュアンスが変わってきますね。わざと色ムラを出して塗る場合もあります。
それらが合わさると立体感が出て、ナチュラルな雰囲気のある作品になるわけです。

色彩計画をたてる

― 作品の設計図などはあるのでしょうか?

小紙:作品を作る前にデジタルでラフを描きます。ラフを描いたあとは色彩計画をたてて、細かい配色まで決定します。そうすると制作中に悩まなくても済みますし、制作に没頭できますので。
それに色彩計画の段階で完全にバランスを取って納得しておくことで、完成品に色の妥協をしなくて済みます。
色見本も作品毎に新しく作っています。コピックのインク残量や、スーパーブラシニブの劣化具合などの理由で色が微妙に変わりますので、確認も含めて色見本を作りますね。
コピックを使用する前は「ここはこの色の紙を使って・・・・・・」など市販の色紙に縛られてラフを描いていましたが、コピックはラフで描いた色をそのまま再現できるので、かなり自由になりました。自分の作品では「色」がとても重要なので、色彩計画をたてること、色見本を作ることは毎回必ず行っています。

作業中
色彩計画

― 確かに、お話を伺っていると色へのこだわりを強く感じます。

小紙:例えば葉っぱの緑色にしても、同じものは一つとしてないので、00番や000番などを使い分けて緑色の差を表現しています。また、紙の種類や、紙を巻いてから色を塗るのと、塗ってから巻く場合でも色の表現が変わりますので、自分の表現したい色や雰囲気に近づけるために妥協はしません。
ボタニカルクイリング・ジャパン(※1)の教室などで、コピックを使用して作品制作をしている生徒の方にも必ず「色の表現は妥協しないほうがいいですよ。」と言っています。

※1 ボタニカルクイリング・ジャパン株式会社コレスポンドが運営している、クイリングの会。植物をモチーフとしたペーパーアートの講座・イベント・出版等を行っている。

比較画像

ちなみに左が市販の紙で作ったパーツ、右側がコピックで塗って作ったパーツです。ポップな作品なら市販の紙で十分ですが、この雰囲気を表現するのはコピックを使用しないとできません。

― ずいぶん印象が違いますね!

小紙:はい、私の求める色や雰囲気を表現するのにやはりコピックは必須です。

― 最後に、コピックに対して一言をお願いいたします。

小紙:30周年おめでとうございます!コピックのおかげで、今の私が在ります。これからもよろしくお願いします!

コピック30thキービジュアル制作の様子

2017年に迎えたコピック30周年をお祝いする作品として小紙先生にキービジュアルを制作していただきました。馴染みがない方も多いクイリング制作の様子を動画でじっくりご覧いただけます。コピックを使用したグラデーション着彩などは必見です!

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