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Sylvain Bordesoules

パリを拠点に活動する若手アーティスト、イラストレーター。映画の絵コンテ(ストーリーボード)担当としてキャリアをスタート。フランスの出版社・ガリマール社から初のグラフィックノベル「L'été des charognes」を出版予定。

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自己紹介と、Sylvainさんの経歴について教えてください。

こんにちは、Sylvainです。私はフランス出身の29歳(2022年時点)で、アーティスト、イラストレーターとしてパリを拠点に活動しています。2020年にパリのCesanのコミック・イラストレーション学校を卒業しました。

私の最初のグラフィックノベルが2023年の春にガリマール社から発売されるんですが、いまは2024年後半に発売予定の2作目を執筆しているところです。

バンド・デシネ(※)のアーティストとして知られています。日本の漫画やアメコミと並んで、バンド・デシネはコミックの主要なジャンルであり、長い伝統があります。バンド・デシネと、ご自身の作品について教えてください。
(※バンド・デシネ:フランス・ベルギーなどを中心とした地域の漫画。日本の一般的な漫画と異なり、カラーで制作されることも多い。)

私はとても夢見がちで、いつも架空の世界や、想像力をかき立ててくれる物語に浸っていました。物心ついたときから絵を描いていた私には、バンド・デシネは思い描くものすべてを形にするための自然な方法です。従来のバンド・デシネのスタイルはページ数などの物理的な側面で体系化されていましたが、いまは本当に進化していて、表現手法がとても自由になりました。漫画やスーパーヒーローのコミックスなどの他ジャンルも、自分自身を十分に表現しながら、実験もできるメディアを創り出すのに大いに役立ったと思います。

私にとって、漫画は自分を表現する手段であると同時に、読者と語り合う手段でもあります。私の読者はいっしょに歩み、私の話に耳を傾けるのを歓迎してくれていて、すごく心地がいいんです。

あなたの作品は物語に満ちていて、まるで映画のワンシーンのようでもあり、現代アートのようでもあります。あなたがインスピレーションを受けた人やモノはありますか?

映画にインスパイアされることは確実にありますね。映画関連の仕事を少ししていて、絵コンテを担当してました。プロの仕事としてはそれがはじめてだったんですが、その後の人生にとても役立っていると思います。その瞬間の気持ちや、「自分が何を見せたいのか」といったことを意識しながら描いているので、私の作品に物語を感じてもらえるのはとても嬉しいです!映画監督と一緒にいろんな映画を見るんですが、いいなって思ったポーズや照明をキャプチャしようと一時停止することもよくあります。

確かに映画とバンド・デシネは似ているところがあります。アングル、ポーズ、背景、役者あるいはキャラクターなど、ストーリーに最適なものは何かを考えないといけないですからね。同じようなものだって思うんですが、バンド・デシネのほうが低予算で済みますね(笑)。

あと、モネやルノワール、ホッパーといった印象派の画家たちに魅力を感じることに気づきました。線を正確に描くのではなくその瞬間の空気感で感覚で何かを伝えるような表現といいますか、そういうのにすごく惹かれます。

これまで制作した中でもっとも気に入っている作品はありますか?

うーん、難しいですね。好きな作品は毎日、もっといえば気分で変わります。ある絵にすごく満足したかと思うと、次の瞬間には燃やしてしまいたくなったりもします(笑)。でも、今のところ、水中を描いた絵が一番好きです。感覚的で、線をあまり使わず色だけで水の感じを伝えていて、夏っぽいし、フレッシュだし。ちょっと自分のノスタルジーも入ってるかもしれないですね。

コピックを知ったのはいつ頃のことだったのでしょう?コピックを使い始めた理由はなんですか?

初めてコピックを知ったのは高校生のときでした。美術の授業で、ある先生がコピックを見せてくれたのですが、すごく気に入って、そのあと漫画の専門学校に入ったとき 「よし、コピックで何かやるぞ」って思ったんです。以前は仕事でカラーインクを使っていて、青と黄色と赤で色を作る実験をしてたんですが、それじゃ物足りなく感じていて、はじめてコピックを手にしたときは、ほんとうに啓示を受けたようでした。
先生はコピックで描いた作品がクリエイティブだと褒めてくれたし、自然に使うようになったんです。どう使うか考えたりもせず、ただコピックを手に取って描いてました。


余計な線を極力排除できるような方法を探していて、「色を使って表現したい」「ペンで線を描いていくのではなく、色で彫刻するような感覚で描きたい」と思っていました。カラーインクは私には合わなかったし、絵の具はたくさん描かなければならないときには手早く簡単に作業できないので、私にはマーカーがベストの選択肢でした。

デジタルで描き始める若い方が増えていますが、コピックを愛用してくださるのはとても嬉しいです。マーカーなどのアナログ画材を使う際の工夫はありますか?

正直に言うと、デジタルって苦手なんです。使ってみたいとは思うんですけど、やっぱり自分には紙や道具の感触や、筆圧を体感することが必要だと感じています。


コピックは色が豊富で、手早く使えるし、他のマーカーでは出せない透明感が出せるので、私には最高のツールです。微妙なニュアンスも出せるし、ノイズになるような色を入れたくなければ入れなくていいしね。どのマーカーでもそれができるわけではないと思います。

お気に入りのコピックの色と、選んだ理由をお教えください。

コピックを使い始めたころは、BV31に夢中でした。明るい紫色で、陰影をつけるためにいつも使っています。いまは使う色が増えたから、好きな色を選ぶのは大変ですね。E04は、キャラクターの影にコントラストをつけたいときにいつも使っている色です。自然できれいな色なので、輪郭を決めていくときにすごく役立っています。また、ウォームグレー系には心地よさがあって、美しいニュアンスを与えることができるし、黒や白の代替として使えますよね。

コピックアワード2021に応募していただいた「Someone is missing」という作品についてお教えください。こういった世界的なコンテストに参加した感想はいかがでしたか?

ものすごくいい経験でしたよ!自分の作品を世界に向けて発信するのは楽しいことだし、たくさんのすてきなコメントもいただきました。

「Someone is missing」という作品は、学校の卒業制作の一部だったんです。老夫婦の一人が亡くなって、もう一人が残されてしまったというちょっと悲しいストーリーです。今はこの物語をしまい込んでるわけですが、いつか日の目を見ることがあるかもしれないです。

現在取り組んでいる新しいプロジェクトについてお聞かせいただけますか?

最新のプロジェクトは、フランスの人気若手作家であるサイモン・ヨハニンの小説「L'été des charognes」のグラフィックノベル化ですね。この小説は、2000年代後半のフランスの田舎町を舞台にした、11歳から18歳までの少年たちの話なのですが、裕福でもなく文化的でもない家庭に生まれた彼らが、その社会階層から抜け出すことの難しさを描いてます。

私たちは人をジャッジしがちですよね。でも、美というものはどこにでもあって、時間をかけて彼らを追いかけて耳を傾ければ、誰もが興味深く、かけがえのない存在であると伝えたいです。

他に進行しているプロジェクトも同様の方向性で、南仏のニースで2人の姉妹が過ごす、トラブル・困難・そして喜びに満ちた旅を追っていきます。2022年のフランスで、人々の生活がどのようなものだったかを思い起こさせるような作品になるんじゃないかな。人々がお互いを見つめ合って、人生の美しさを理解できるような、そんな作品にしたいと思ってます。

世界中のコピックコミュニティの皆さんに伝えたいメッセージや、アドバイスなどあればお聞かせください。

夢に向かって、絵を描きつづけ、自分を信じることです。すべては可能なんですから。

アーティストになるという夢が、夢に終わらないで現実になるなんて想像もしていませんでした。高校時代に美術の授業は受けてましたが、いろいろな事情で18歳になったときに美術の勉強をやめて、リアルな世界で働くことになったんです。食品業界でやりたくない仕事をしたりして……それでも生活は続いていくわけです。どうすればいいのかわからないまま、漫画を出版することを夢見ていました。けれど、25歳で発起して美大に戻ったら、チャンスを与えてもらえる機会に恵まれ、学校卒業後すぐに本が出せました。だから何かをしたい時に遅すぎるということはないと思います。チャンスを生かして、時間をかけて自分自身を発見し、何をしたいのか、どうしたいのかを考えてくださいね。私みたいにずっと待ってたらダメですよ。

そして、もしあなたがコピックに惹かれるなら、ぜひ試してみてくださいね!

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