Phannapast Taychamaythakool(ファナパスト・タイチャメールコール)
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ファナパスト・タイチャメールコールさんは、カラフルでシュールさもあるおとぎ話のようなイラストで人気のタイのイラストレーターです。ファナパストさんは、自身のInstagramを通じてその絵の独創性をGUCCIに見出され、世界的なアートシーンにその名を刻むこととなりました。雑誌「VOGUE」が選ぶ「タイのファッション業界で最も影響力のある100人」に選ばれるなど、ファッションブランドのクリエイティブデザイナーとしても活躍しています。
ー あなたの経歴について少し教えてください。
アーティスト、イラストレーター、ファッションデザイナーとして、タイを拠点に活動しています。今年の初めにはタイで2回目の個展を開催しました。もしかしたらGUCCIとのコラボレーションで私のことをご存知の方もいらっしゃるかもしれません。
ー 絵を描くようになったきっかけを教えてください。
絵を描くようになったのは、4歳のときです。家業はシャツの仕立屋でした。夏休みになると、お針子の姪であるジャイという子が家に遊びに来ていました。彼女が私に絵を教えてくれたんです。それがすべての始まりでした。
ー 子供のころに描いた絵はまだ持っていますか?
はい、今でも持ってますよ!一人っ子だったのもあり、毎日ペンやスケッチブックをおもちゃにして一人で遊んでいました。
ー ファナパストさんの作品は、ポップで遊び心にあふれていますが、民芸的な雰囲気も持ち合わせています。特に、タイの寺院で見られるようなカラフルな仏教画の影響も感じます。絵にそういったルーツはありますか?
私は幼いころからさまざまな文化に影響を受けてきました。例えば、私は中国系の家庭に生まれました。家族からは華僑の文化を受け継いでいますし、タイのお寺にも行きます。家の仏壇には、仏像のほかにヒンドゥー教のガネーシャも飾られています。小学校から高校まではカトリックの学校に通っていましたし、また日本のアニメや漫画、欧米のポップスやR&Bなどの音楽にも影響を受けました。
ー 学校で美術やデザインを学んだことはありますか?
小学校から高校までは特別学んだわけではありませんが、美術の授業があって、友達に理科や数学の宿題をやってもらう代わりによく絵を描いてあげていました。好きな人に絵を描くこともありましたね。その後、チュラロンコン大学で本格的にファッションデザインについて学びました。
ー プロのイラストレーターとして活動を始めたのはいつですか?
大学を卒業してからイラストを描き始めました。並行して、2010年からファッションデザイナーとしても活動をはじめて、2018年には「Rainbow of Dream」という会社を立ち上げました。
ー 2017年には、GUCCIのジュエリーコレクション「Le Marche Des Merveilles」と連動したフェアリーテールブックのイラストを依頼されたと思いますが、その経緯をお聞かせください。
始まりは2016年ごろです。GUCCIのアイテムを身につけた動物のファッションイラストを描いて、それをハッシュタグ「#GUCCICruiseNY」をつけてInstagramに投稿しました。
純粋に、アレッサンドロ・ミケーレ(GUCCIのクリエイティブ・ディレクター)の作品に敬意を抱いていて、感謝の気持ちを伝えたかったから投稿したのですが、すぐにGUCCIからDMで連絡があり、「Gucci Tian」プロジェクトのコラボレーションの話に発展しました。そして翌年には「Le Marche Des Merveilles」をスタートすることができました。
ー 絵を仕事にする場合、クライアントに合わせて制作内容を考慮する必要があると思いますが、自分の創造性を妨げることなく、相手の要求に応えるためにはどうすればいいのでしょうか。
クライアントをリサーチし、コミュニケーションをとり、計画を立てることが、お互いの目標を達成するために最も重要なことです。クライアントの目標や実現したいことについて、常に彼らとよく話し合うようにしています。もちろん、今までにやったことのないものを創るというのはチャレンジですよね。
ー アーティストになろうと思ったきっかけは、具体的には何だったのでしょうか?影響を受けた人はいますか?
誰かや何かに影響を受けたのではなく、私自身がインスピレーションで決めました。私の「アーティスト」の定義でお話すると、私はさまざまな形態のアートを創造し、境界線のないコミュニケーションを可能にするムーブメントを起こすのが好きなのです。私の作品が自分自身と対話する機会を作ってくれて、それが私に自由を与えてくれるということが大切です。
ー SNSがアーティストに与える影響について、どのようにお考えですか?
SNSは、アーティストにとって大きな助けになっています。今は自分の作品を全世界に向けて発信するポートフォリオやギャラリーをみんなが持っているようなものです。完成前に、制作中の作品を見ることができるという興奮があり、そのフォーマットも多様化しています。またNFT(Non-Fungible Token:非代替性トークン)も増えていますし、ブロックチェーンや暗号通貨を使ってデジタルアートを販売することもできます。アーティストにとってはエキサイティングな時代だと思います。
ー 最近、ご自身のオンラインストア「Phannapast Universe」を立ち上げられましたが、今後の予定を教えてください。
私が好きなものすべてを集めた宇宙のようにしたいと思っています。幸せでいっぱいのかわいいアクセサリーを見つけることができる、素敵な宝の地図のような感じです。私はいつもちっちゃなかわいいもので自分を元気づけているので、「Phannapast Universe」もそんな場にしたいです。
ー コピックを使い始めたのはいつからですか?使おうと思ったきっかけは何ですか?
最初に使い始めたのは高校3年生の時です。お金を貯めて、初めてのコピックを買いました。当時は、今のようにたくさんのコピックを買うことができませんでした。まだ最初に買ったコピックを大事に持っています。
当時大学入試の準備をしていて、私の家は受験会場からとても遠かったのですが、コピックは持ち運びに便利だったので愛用していました。私は絵筆を洗うのがとても嫌いなので手軽なコピックが合っていました。コピックは色数がとても豊富で、雰囲気やトーンに合わせて自分のパレットを作ることができるのでそこも好きです。受験、ファッションの勉強、ファッション業界での仕事、そして会社設立まで、手にコピックのインクじみがついていない日はありませんでした。信じられないことですが、もう16年の付き合いになるんですね!
ー ファナパストさんのイラストはとてもカラフルで、コピックの魅力を存分に活かしていただいているように感じます。よく使っている色はありますか?
作品によっては、雰囲気やトーンを変えるためのちょっとしたコツとして、原色を選んでいます。私がよく使うビビッドな原色として、私が好きな口紅と同じ色のLight RougeR14、私の指輪についている幸運のターコイズの色であるTahitian BlueB04、私が毎日でも見たいぐらい大好きなひまわりの花を連想するGolden YellowY17、大好きな宝石のひとつであるエメラルドグリーンのG05をよく使っています。また、雰囲気に調和する色組を創るテクニックとして、BG93、E70、カラーレスブレンダーの0を組み合わせています。
ー プロのアーティストを目指している若いコピックファンに向けて、メッセージやアドバイスをお願いします。
人にはそれぞれの道や目標があると思います。タイには「今日を最高の日にしよう」という決まり文句があるのですが、私にとってこれほど難しいことはありません。最高でなくてもいいから、少しでもその日の気分が良くなるようなものを見つけることができればいいと思うのです。そうすれば、夢への道を歩むためのエネルギーが得られるはずです。