コピックアワード2021の特別賞として登場したHolly Nichols賞を選ぶ、イラストレーターのHolly Nichols(ホリー・ニコルズ)さんに、これまでの経歴や審査に関する想いを聞かせていただきました。
ーアワードに参加する皆さんに向け、自己紹介をお願いします。
私はボストン在住のファッションイラストレーターで、コピックマーカーは10年以上愛用しています。クチュールのドレスから、リモートワークのときのカジュアルな服装まで、ファッションやビューティにインスパイアされた絵を描くのが大好きです。私のイラストは国際的に展開されていて、ファッション、ビューティ、ライフスタイルなどのブランドと協力して、キャンペーン、商品、出版物のためのイラストなどを手掛けています。
ーファッションイラストを描き始めたきっかけは何ですか?あなたのアーティストとしての経歴についてお話いただけますか?
昔からファッションとアートの両方が好きで、幼いころからアートのレッスンを受けていました。学生になると油絵やアクリルで作品を描くようになり、大学でも美術を専攻して、自分のスタイルに合った作品を柔軟に作っていました。2013年の卒業時に、作成したイラストのポートフォリオをもとにインスタグラムのアカウント@Hnicholsillustrationを作ったんです。このアカウントは急速に成長して、いまでは毎日コピックを使った作品制作のプロセスを世界中のフォロワーと共有しています。とても楽しいですよ。
ー10年以上も愛用いただいているとのことですが、いつ頃からコピックを使い始めたのでしょうか?
私がコピックに出会ったのは、インテリアデザインを専攻していた大学1年の時でした。当時はインテリアのレンダリングスケッチにコピックを使っていたのですが、コピックの合理性、色のセレクション、そして完璧な混色性に惚れたんです。
使っているうちに、コピックスケッチのスーパーブラシニブは、服の動きをスケッチするのに非常に適していて、コピックでファッションイラストを描くと、魔法のように上手くいくとわかりました。それからすぐに専攻をスタジオアート(アートの制作・実技)に変更したので、ファッションイラストをわたしの作品の中心に据えることができました。
ーお気に入りのコピックの色とその理由を教えてください。
人物やヘアスタイルを描くのが好きなので、最もよく使うのはE系の色になります。でも単純に一番好きな色はBV01です。美しい、百日紅のような色です。これは私の作品によく登場する色で、新刊の表紙のガウンのイラストでもこの色を使っています。
ーコピックを使ってイラストを描くときのコツやテクニックを教えてください。
軽いタッチで描き、淡い色から濃い色へと彩色することで、マーカーの能力をより引き出すことができます。紙の上で踊るような筆遣いを心がけると上手くいきます。私が気に入っているコピックの特徴の一つに、簡単に色を重ねることで作品を構築していけるということがあります。1つの色でも、繰り返し重ねていくだけで、作品に深みや奥行きを出すことが出来るのです。
ー作品づくりにおいて、どんなもの・ことに影響を受けていますか?
旅とファッションには大きな刺激を受けています。この2つは、私の作品の強いテーマにもなっています。ビジュアル・アートに加えて、音楽やダンスなどのパフォーミング・アートにも長く携わってきましたが、どちらもインスピレーションを与えてくれるので、現在でも練習を続けています。
ーあなたの夢や芸術面での目標について教えてください。
私の夢は行ったことのない土地で作品を創ることです。コロナの影響でしばらくは安全優先になっているので作品制作の場は限られてしまっていますが、いつかコピックを携えて、世界中を見ながら制作できるようになれたらと思っています(幸いなことに、コピックなら旅のお供にぴったりですし!)。
ー書籍「Modern Fashion Illustration」について教えてください。
「Modern Fashion Illustration」は、わたしがどのようにファッションイラストに取り組んでいるかを段階ごとにまとめた解説書になります。この本は、ファッションイラストを完成させるためのテクニック解説だけでなく、イラストのテーマをイメージする方法、SNSで作品を共有する方法、マーカーを揃えていくための方法など、様々なノウハウが書かれています。初心者から高いスキルレベルをお持ちの方、そして幅広い年齢の方を対象としているので、ぜひ多くの方に手にとっていただきたいです。ついにこの本を紹介することができてとても嬉しいです!
ー今年はコピックアワード2021 特別賞の審査員をお引き受けいただきありがとうございます。ホリーさんが選ぶ特別賞が今年登場されましたが、どんな作品を期待していますか?
とても名誉なことです!私はアーティストの作品を見るのが何より好きなんです。コピックマーカーの機能と守備範囲の広さを最大限に活用した、動きとディテールを兼ね備えたダイナミックな作品を楽しみにしています。
ー最後に、今年のコピックアワード参加者へのメッセージやアドバイスをお願いします。
私はいつも「誰もがアーティストなんだ」と言っています。アートとは、創造的な思考だったり、また身体的な動きや作業だったりもします。自分の可能性を探求することを恐れないでください。恐れや、完璧さへの執着によって自分の創造性を発見することを妨げられないようにしてくださいね。