コピックには欲しいと思う色すべてがある
— Graceさんはオーストリア出身で現在は日本を拠点にご活躍されていますが、 コピックをはじめて使ったのはいつどこででしたか?また、そのときの感想 などをお聞かせください。
Grace Leeさん(以下敬称略):コピックを使い始めたのは2013年あたりだと思います。私は元々オーストラリアでグラフィックデザイナーとして働いていたのですが、ワーキングホリデーで来日しました。英語教師をしながら、イラストレーターとしてゆっくり活動を始めたのですが、予定していたよりもずっと長く日本に滞在することになりました。
初めはポスカを使っていたのですが、私のスタイルが変化するにつれて、コピックをよく使うようになりました。いくつかマーカーを試したのですが、コピックが一番使いやすかったです。 コピックの気に入っているところは、マーカーなのでコントロールしやすい上、(他のマーカーに比べて)絵の具でペイントしたようにも描くことができるところです。また、紙にきれいに吸収されるのでパソコンでスキャンするのが簡単なところも良いですね。線の太さ・細さをコントロールしやすいのも気に入っています。 それから、色の名前がとっても可愛いですね。私が最初に買った色はlight prawn_R22だったと思います。その名前がとてもいいなと思ったのも大きな理由です。— Graceさんの描くイラストや文字は、ポップで親しみやすいだけではなく、 ユーモアや味わい深さを感じます。イラストを描くときのインスピレーションは どのように湧いてきますか?
Grace Lee:えー!ありがとうございます!私のユーモアの感覚が伝わっていてすごく嬉しいです!イラストを始めたときは、東京の日々の生活(と日本国内の旅行)にかなり影響されました。街で見かけた人をよく描きました。私が頻繁に使うようになった色は、最初は周りのものたちから自然と影響を受けたものが多かったです。 経験を重ねるにつれて最近は描く対象物に合わせて、すごく明るくカラフルなものから、反対に抑えめの淡いトーンのものまで、幅広く使うようになりました。コピックは本当にたくさんの色があって、欲しいと思う色すべてがあるので本当にすごいですね。私のまわりでコピックを使う人はみな口を揃えて「全色欲しい」と言っているくらいです(もちろん私も!)。
私がよく使うのは、Lipstick orange_R17、Lionet Gold_Y28、Slate_BV29です。日常生活や旅行以外で影響を受けるのは、活動や作品から感じるエネルギーや色味が素晴らしいMaira Kalmanさんやちょっと不思議で巧妙なユーモアがあるChristoph Niemannさんです。(二人ともイラストレーター)— Graceさんはコピック以外にも色々な画材を使用されていますが、その中からコピックを選ぶときはどのような場合ですか?
Grace Lee:イラストレーターとして6年ほど活動していますが、ほぼすべての作品をコピックで制作しているので、どんな場合でも、ですね!昨年3ヶ月ほどオーストラリアに帰国した際には、持っているコピック全部を大きなジップロックに入れて、2kgほどありましたが持っていきましたよ。
イメージを組み立てていく
— コピックで描いたモチーフをスキャンして、photoshopでレイアウトするというテクニックをこれから取り入れたい方にポイントを教えて下さい。
Grace Lee:お仕事の場合、修正に対応できなくてはならないので、色味やコントラストの調整やレイヤー分けをするためにPhotoshopも使います。多分私のお仕事の90%ほどはコピックとPhotoshopで制作していますね。私は元々デザインをやっていたので、モチーフを描いた後に変更することが好きなんです。私は最初の段階から完成形ができていることはほとんどなく、何を描くかをざっくりと決めておいて、それらを描いてから後で組み立てていくんです。イメージを組み立てていくような感じですね。
実は、イラストのお仕事を始めた頃は、Photoshopは修正のためだけに使っていました。イラストは自己流のため、作品が「リアル」に見えないと思うことがほとんどだったので、Photoshopで仕上げとしてプロポーションを調整したり色味を変えたりしていました。経験を重ね、少しイラストが上達して、描く楽しみを思い出したので、今ではそこまではコンピューターには頼らないです。 ポイントといえば(私も最近知ったのですが)、コピックペーパーセレクションを使うことですね。これは私にとって大きな発見でした。にじまない紙を使えばスキャンもきれいにできますし、スキャンしたイラストをPhotoshopで切り抜きをするときもラクなので時間の節約になります。私はPMパッドを使っています。— 今後、描いてみたいテーマやチャレンジしてみたい事は何ですか?
Grace Lee:特にこれといったテーマはありませんが、私が趣味として描くときは、その時に興味があったものを描くことが多いですね。例えば、初めてハーフマラソンに挑戦するためにトレーニングを始めた時はボディービルダーのポーズのZINE(magazine,funzine:趣味で制作する雑誌)を作りましたし、また別の時には私の甥と姪が学校のチェスクラブに入部したのでチェスのZINEを作りました。初めて作ったZINEは日本語の数の数え方でしたよ(残念ながら全然上達していないですが!)。 でも、私の大きなチャレンジの1つは・・・1冊のスケッチブックを最後まで終わらせることですね!簡単なことのはずなのに、なぜか私は今まで一度もできたことがないんです!なので、がんばります!