李承溈(リ ツン グゥエ)
台湾のイラストレーター、元美術予備校講師。
約20年に渡って絵の描き方を教えており、多くの技法を用いてリアルタッチな絵をメインに描く。
写実的な作品を多く描かれる李先生に、コピックとの関わりを伺いました。
コピックを使用して写実的な作品を描く
― コピックを使い始めた時期と理由を教えてください。
李:最初にコピックを使用したのは、私が高校生のときに国が主催しているイラスト大会に参加したときです。
当時は大会で使用する画材に規定がなく、普段使用していた水彩絵の具や彩色インク以外に初めてコピックを使用してみました。
結果、絵を描く過程で色の出方や、筆のタッチ、グラデーションの違いがはっきりとわかるようになるなど思ってもみなかった効果が出てとても驚きました。
― コピックを使用し続けている理由はなんですか?
李:コピックのカラーシステムがとても完成されていることと、透明性やグラデーション、混色のしやすさなど全て優れているからです。また、幅広い技法を用いることで、私が描きたい写実的表現もうまく表現することができます。
またインクの乾く速度が早いので、たくさん絵を描くことができるのも理由の一つです。
― 李先生の絵はとてもリアルですよね。何か参考にされる資料などはあるのでしょうか?
李:参考にする資料は実物や写真など、とても多いです。
制作中に、表現したい物の精密さを上げたいときには実物をよく観察して描いていきます。
ブロードニブで違った質感を与える
― 絵を描かれる際の特別な技法などはありますか?
李:私はブロードニブとスーパーブラシの2種類のニブ使い方を熟知している自負がありますので、2つのニブを使い分けて絵を描きます。特に好きなのはブロードニブで、使い方次第でいろいろな線や重ねた表現ができます。ブロードニブによる変化を最大限に発揮すれば、イラストに違った質感を与えられることができるのです。このことはワークショップや授業などで学生に特に強調して教えています。
他にも補助画材……例えば綿棒や布、綿などを使用して、ニブによる表現の限界を超えた作品作りを心がけています。
またカラーレスブレンダー0番を応用して他の画材と組み合わせるのも私が常用する技法のひとつです。
― 絵を描くとき、紙の選択は重視しますか?
李:紙を選ぶ基準も多くあります。マーカーイラストに限って言うならば、コピー用紙か粗めの水彩紙を多用しますね。紙に若干のテクスチャがあって、あまり滑り過ぎない紙がいいです。それと色鉛筆や木炭を使用したときに、少し摩擦力があるのが最高の紙だと思います。
ただ最近はコピックペーパーコレクション、特にベーシックペーパーを愛用しており、授業のときにも学生にベーシックペーパーを紹介しています。
― では制作の時に、好きな部分や特別注意する部分はどこですか?
李:作品制作の際はラフから完成まで、どの段階でも非常に用心して制作しています。授業で教えるときも、毎回検討を重ね、次に書くときは……など、次回の作品制作をどう表現するかも考えて制作しています。
― 一つの作品を仕上げるのにどれくらい時間がかかりますか?
李:どの作品も完成までの時間は固定されていません。描かれた表現の仕組みや効果をみて、自分が「これで完成だ!」と思うところまで描きます。
コピックを選ぶ理由とは?
― コピックの好きなところはどこですか?
李:たくさんありますよ! 例えを挙げるだけでも
・ぼかしやすい
・乾燥する前と後であまり色が変わらない
他のブランドの製品だと、乾く前と乾いた後で色の差が大きいんです。
・ニブが使いやすく、古くなったら交換できる
・インクが少なくなったら補充すればまた使える、とてもエコな製品である
などと例を挙げたらキリがありません。全てコピックの非常に好きなところです。
― ありがとうございます。最後に一言お願いします。
李:30周年おめでとうございます! 今後もどうぞよろしくお願いします。