きぃか
岐阜県出身。愛知県立芸術大学卒業。
鉱物や植物などの自然物を好み、コピックを使用した作品制作を行う。
鉱物イラストが印象的なきぃかさんに、コピックとの関わりについて伺いました。
E81のおかげで卒業できました
— コピックの使い始めについて教えて下さい。
きぃか:中学生の頃、色鉛筆の次の画材として買ってみたのが最初です。色鉛筆の12色セットのイメージで、単品で濃い色を12色購入しました。最初は思い通りに行かずに挫折しました。
— どうやって挫折を乗り越えられたのでしょうか?
きぃか:当時、緑黄野菜子さんがサイトでメイキングをされていて、それを参考にしたり、友人に教えてもらったりして、薄い色を増やしていくことで使えるようになりました。最近は書籍も出ていますね。(「コピックで出来る!魅力的な質感の描きかた」グラフィック社刊行
— 好きな色、思い入れのある色はありますか?
きぃか:卒業制作のタイミングで新色として発売されたE8系統が好きです。E81が石を描くのにとっても重宝していて、この色のお陰で卒業できました。これまでは、この色をYG91とW系を合わせて作っていたので、手数が減りました。卒業制作で本当に悩んで行き詰まっていた時に登場した色だったので、本当に助かりました。
ブロードニブが色の調整がしやすくて便利
—卒業制作や、その準備段階の作品群、そして今回の作画でも、鉱物をテーマとされていますが、どうやって描かれているのでしょうか?
きぃか:手持ちの鉱物を観察して描いています。大きさは2cm前後の高さの物が多いですが、中には小さな粒状の物もあります。6色セレクトDiamondに限っては手持ちが無く、科学館でスケッチをした物や図鑑を参考にしながら制作を進めました。
描き方としましては、6色セレクトでは部分ごとの色相・彩度・明度を6色に置き換えて着色し、卒業制作では見た色をなるべくそのまま表現しています。陰色も、固有色として色番号に置き換えると分かりやすいです。準備段階の作品群は、そうした手法に行き着くまでの模索段階でした。
— 絵を描く際のポイントはありますか?
きぃか:使用するニブと紙、併用する画材がポイントになります。まず、ニブはブロード側を使うのがポイントです。最初は「何に使うの?」と思っていて、卒業制作でも最初はスーパーブラシを使っていました。
でも、スーパーブラシだと色が濃く出てしまって、すぐに紙に染み込む限界が来てしまったので、ある時ブロード側を使ってみたら、色の調整がすごくしやすかったんです。それ以降の鉱物イラストでは、ブロード側を使用しています。
— 紙はどんな紙を使用されていますか?
きぃか:マットサンダース紙が好きで使用しています。大学の頃に購買で「水彩紙お試しセット」が売っていて、それがきっかけで出会いました。ボカすことも、シャープな表現も、色を抜くこともできて、厚みがあって色が染み込む限界があまり来ない紙で便利です。
— 紙はそれぞれの方の塗り方によっても好みが変わる分野ですね。他に併用する画材は何ですか?
きぃか:ハイライトに白いボールペンを使います。そのままだと浮いて見えてしまうので、綿棒で押さえて馴染ませる事もあります。ボールペンで描いた箇所の一部を綿棒で削り取る事で、ごく小さなハイライトの表現もできます。
鉱物をイメージした6色セレクトでの作画
— 今回の6色x8つ、計48色で満遍なく広い色相をカバーできるように、各系統のオススメ色をチョイスしています。
— コピックは2次元的に色を管理する独自のカラーシステムを採用していますが、それを生かした塗り見本を作成されているのですよね。
きぃか:はい。各色系統を1枚づつ紙に割り当てて、系統と明度をぞれぞれ縦軸と横軸に取った、薄い紙の色見本を使用しています。これがあることで、縦横斜めの関係性がわかること、他の色系統とレイヤーのように重ねて使うことができます。
—色見本を作ったことで、6色組の理解が深まりましたか?
きぃか:番号毎に縦横斜めに配色した見本は、色の関係性を理解する手立てになったと同時に、各セットの計算された組み合わせに感銘を受けることとなりました。
— この6色の組み合わせは、OpalとAmber、Diamond以外は、それぞれ2色づつ明暗のペアになっているのが特長です。2次元的に配置した色見本を作成して、その関係を理解していただけて幸いです。
きぃか:特に興味深かったのが、Ruby、Topaz、Emerald、Sapphire、Amethystの5セットにおいて、セット内で一番明るい色に低彩度色が割り当てられている点です。 高彩度色の明度を上げつつ、彩度を下げる表現が出来るんですね。他にも発見が多く、普段の使用色が多くても、色縛りを楽しみながら描かせていただけました。
コピックを使われる皆様が、この特別な組み合わせでの制作を体験されることを、願ってやみません。