月神るな
キャラクターデザイン、衣装デザインなどマルチに活躍されているイラストレーター、漫画家。
SNSやコミックマーケットにおいてもファンから絶大な支持を受けている。
自身のイラスト制作過程のネット配信などもされており、多くの視聴者を惹きつけている。
今回のインタビューでは初の試みとして、2017年8月にリニューアル発売した「コピックスケッチ ベーシック12色セット(A,B,C)」を順に使って頂き、作品を完成させて頂きました。
Aセット グレイのトーンでイラストのベースをつくっていきます。
— 初めてコピックを買われた時期やきっかけはありますか?
月神るな:高校生の頃でしょうか。ニュータイプ(KADOKAWA刊)という雑誌でコピックの特集があったと思います。それを読んでコピックを使ってみようと思いました。
— 今回主線をデジタルで描かれていますが、なぜ茶色なのでしょうか?
月神るな:茶色にすることで暖色で温かみのある雰囲気になります。線はデジタルなのにアナログで色 を塗るとアナログ作品になるのが不思議ですね。
— 初めはどの色から使いますか?
月神るな:まずは0で下塗りです。肌は綺麗なグラデーションが求められるので0番をよく使います。塗ってもすぐ乾いてしまうので二度塗り三度塗りしながら、普段はコピックワイドオリジナルに0番を入れて使っています。
— 肌は何色をお使いになりますか?
月神るな:YR000、E000を使っています。薄い色を何度か重ねて塗ります。肌が決まればイラストの全体的な魅力は決まる気がしますし、特にアナログイラストだと肌が綺麗に塗れるかどうかで技術力が出るような気がします。
— 服の影や皺の表現は何色を使われますか?
月神るな:グレー系や寒色の紫のような色をよく使います。W-1~W-3まで持っていても損はないと思います。最近はNも使います。暖色から始めて、寒色を足していくようなイメージです。
— 髪のツヤ感を出す際のポイントはありますか?
月神るな:髪のツヤ感はタッチで出します。色を重ねる前提で描くので、最初から大胆には行かずちょこちょこやっていくといいと思います。デジタルでももちろんこのような表現はできますが、アナログにはアナログならではの解像度、密度感がある気がします。
Bセット 中間色を使用することで彩りがプラスされます。
— 肌を重ねて塗るのですね。
月神るな:はい、このセットの場合はE000とE11で基本的に肌が表現できます。
— 肌は一定方向に塗るのですか?
月神るな:そうです。色むらをどれだけなくすかがテクニックですね。あと髪にも透け感が必要です、肌が透過しているように見えるように一定方向に塗ります。パッキリと紫と肌色で離れるよりはオーバーラップしているような馴染み感が必要になります。そういう意味ではもうちょっと大雑把に塗っていってもいいと思います。今からコピック始めたい方も、少し気持ちを楽にして、大雑把に塗っていいんだと思って頂きたいです。
Cセット さらにビビッドな色を使うと華やかなイラストに仕上がります。
— 塗らずに温存していた箇所を塗っていくのですね。
月神るな:そうです、Cセットに入っているビビッドな色は大事だということがわかります。
— 色見本帳を独自で作られていますか?
月神るな:昔は作っていたのですが紛失してしまいました。コピックは退色してしまうので大変です... ...でも退色しても味があるのがいいところです。そこがアナログイラストの楽しみ方かなと思います。
— 描いている中でイメージが変わってしまった場合はどうされていますか?
月神るな:混色をします。上から他の色を塗ってみると『お!違う!』となることが多いですね。あまりコントラストを強くすると、大切にしている透明感がなくなっていくのですごく難しいですが......混色することで濃い赤ですら赤味のある違う色にできます。
ABCセットで総仕上げ さらにABCセットから月神さんが色を選んで仕上げていきます。
— 服の上からE000を全体に塗るのですね。
月神るな:はい。こうすると、統一感が出て大幅に変わると思います。重ねても下の色を邪魔せずに塗れるのがコピックのいいところですね。彩度が低いものを選ぶのがオススメです。
— ホワイトも入れるのですか?
月神るな:はい。今回コピックオペークホワイトを初めて買いました、穂先がブラシだと聞いて。でも穂先が曲がってしまって......。
— その際はお湯(60°Cくらい)につけると穂先がまっすぐに直ります。
月神るな:本当だ!まっすぐになってますね。コピックオペークホワイトは是非ペンタイプも商品化していただきたいです!
エアブラシ さらにエアブラシR20を使ってイラスト全体を仕上げていきます。
— 関節や頬にエアブラシを使うのですね、印象が全然違います!
月神るな:とても効果的です。お花、あと指先にも。全然違う!すごいですねやはり。いつもABS使ってます。エアブラシ、皆さん是非買ってください!エアブラシだけで描くこともできそうです。
— どれくらいの時間で1作品を仕上げますか?
月神るな:平均3時間くらいだと思います。最短で1時間で1枚終わるかな、という感じです。1作品につき40色ほどのコピックを使います。
— 今後コピックで挑戦したい色はありますか?
月神るな:蛍光色F。Fをうまく使ってカラーインクに負けないイラストを描いてみたいです。Fのラインナップを増やしてもらえたらな思います。装飾や色紙の見栄え感を出したいときにFV2を使っています、とても使い勝手が良いです。
— よくコピックを使って「失敗した」と仰る方がいますが、どうすれば失敗しづらいでしょうか?
月神るな:薄く塗っていくことです。初心者の方が思っているほどにはそんなに失敗しない画材じゃないでしょうか。インクこぼした!は失敗なのかもしれないですけど、そういうことがない限りはリカバーが効く画材だと思います。先ほど話したように、赤味のある違う色にしてみたり。失敗という失敗はないということを伝えたいですね。
今回の制作で使用していただいたセット
コピックスケッチ セット
ベーシック24色はベーシック12色「A」+ベーシック12色「B」の色組です。ベーシック12色「A+B+C」でベーシック36色が揃います。
NEWベーシック12色セットA:4,560円(税別)ストアで表示
アートやデザインに向くスターティングセットです。グレイのトーンに淡い差し色を入れることで、色に惑わされずに光と影の表現に集中することができます。
NEWベーシック12色セットB:4,560円(税別)ストアで表示
コミックイラスト向けのスターティングセットです。肌の表現色に加え、各色相がバランス良く揃っていて、明るい色から影色まで幅広い表現が可能です。
NEWベーシック12色セットC:4,560円(税別)ストアで表示
ビビッドな基本色のスターティングセットです。12A、12Bセットに加えることで、より深みを増すことができます。
NEWベーシック24色セット:9,120円(税別)ストアで表示
マーカーイラストを描くための初心者向け入門セットです。12Aと12Bセットを合わせた配色で、各色相がバランス良く揃っています。
NEWベーシック36色セット:13,680円(税別)ストアで表示
各系統の基本色を揃えたスターティングセットです。12A、12B、12Cを合わせた配色で、アイディアスケッチ、カラーイラストなど、本格的にマーカーイラストを描き始めたい方に最適です。