奥田 一生 http://isseinoissyou.michikusa.jp
奈良県出身。
イラストレーターとして電子書籍・広告・ファッション・コンセプトアート・キャラクター制作等を行う傍ら、ギャラリーでの展示会等による活動を行う。
人を含めた生物の力強さ・奇妙さ・美しさをテーマに、主に神話や伝承や伝説・言葉遊び等を環境と組み合わせたストーリーを作り、過去や未来に決して見る事の出来ない風景を描く。
神戸ビエンナーレ コミックイラスト部門準大賞
ASIAGRAPH 2013年度 Cgアートギャラリー公募展示部門/優秀作品
GEISAI#18/ pointranking10位受賞
コミックアート賞012/グランプリ コミックアート賞受賞
第13回インターナショナル・イラストレーション・コンペティション 優秀賞受賞
緻密な描画が特徴的で、数々の展示会で受賞歴もあるイラストレーターの奥田一生さんに、コピックとの関わりについて伺いました。
コピックは手軽に持ち運べて、いつでもどこでも使えるのが魅力
— コピックを使い始めたきっかけと時期を教えて下さい。
奥田:初めて使用したのは本当に小さい頃で、父が仕事でのスケッチのために持っていたのを借りて落書きを沢山しておりました。
— なるほど、子供の頃からコピックがご自宅にあったのですね。
奥田:自分自身で購入したのは、コピックスケッチが最初でした。今では、マルチライナーをメインで使用しています。太さは、0.03~0.5の5本をよく使います。特に0.1と0.05は最初の作業に使い、残りはその線をより際立たせるために使用します。
— コピックのどんなところが気に入っていますか?
奥田:手軽に持ち運べて、いつでもどこでも使えるところです。特に私は仕事のために移動する時間もありますし、電車などの移動中でも作業しているので、その際に使えるのが便利です。あと、マルチライナーはペン先が丈夫だと思います。
— ご自身ならではのコピックのテクニックや工夫などを教えてください
奥田:最近はマルチライナーを使っており、線画での表現を工夫しております。物の形や質感などを線画での強弱や、線と描き込みのテクニックで様々に表現できるようにしています。
PC着色の線画にマルチライナーという選択肢
— 作品制作について、描くのが好きなモチーフや、気合をいれる部分はどこですか?
奥田:生き物、ロボットや物(特に使い込まれることによって味が出てきている物)を描くのが楽しいです。一瞬見ただけでは気付けないけれど、よく観察すると色々な表情を持っておりそれを表現するのが好きなんだと思います。気合をいれるのは目や、そのモチーフ独特の表情、またそれぞれの物が持っている精巧さを描けるように意識しています。
— 絵を描く際に参考にしているものはありますか?
奥田:一番参考にしているのは図鑑や写真集です。とは言ってもそのまま見て描くのではなく、自分なりに構造や形を理解してから描きます。あとはゲーム等の設定資料集や、神話等の本を読んでアイデアや世界観を増やしております。
— とても緻密な作品が多いですが、どういった順番で描き込んでいくのでしょうか?
奥田:細かく描きこむ際は絵の中の空間でいう手前から描いていくことが多いです。空間と見ごたえがある部分、見せたい部分の順に描いていると思います。ただ、一番の目の行き所、メインの箇所は画面の全体のバランスをみて調整するために最初は大まかに描いた後、メインの描き込みに関してはほぼ最後の方に持っていく場合が多いですね。
— 1枚の作品を仕上げるのに、かかる時間はどのぐらいですか?
奥田:仕事や趣味で描く場合で様々ですが、自分の趣味で描く場合は早くて3日ぐらいだと思います。(A3サイズ、パソコンでの着色込みで)
— 制作の際に、紙の選び方で重視していることはありますか?
奥田:滑りにくく、適度に引っかかる紙を選んでいます。折角手描きで線をひくので、綺麗すぎない少しぶれるぐらいが好みです。
— コピック以外で使用している画材はありますか?
奥田:色々な画材を使いますが、最近はPC(photoshop)が多いです。仕事の場合によって使い分けるのですが、仕事によっては完全PCの場合もありますし、線画を描かない場合もあります。ですが自分自身らしさが出やすいのは、ずっと昔から描き続けている線画になります。仕事で自分の絵柄をクライアントさんが気に入ってくださった場合は線をアナログで、カラーをPCでということが多いです。
線画をPCで描く場合もあるのですが、より自分の絵らしくする際には線はアナログが多いです。線画に関してはスキャンをして綺麗に抜き出すことも可能ですので、その線の下にレイヤーを作って着色をしております。細かい線画の描き込みで質感を出し、その線の色を変えることで、パソコンのタッチではないアナログらしいタッチの絵が出来上がるのがポイントです。
「告白」について
— 今回のイラストについて伺えますか。
奥田:私たちの見ていないところでも日々日常は動いていて、自分たちの想像していない場面があるのだということをテーマに描いております。この絵の中登場する生き物たちにとってはごくごく日常の風景なんだと思います。
— イラストはどのような流れで制作されますか?
奥田:仕事の時はラフで打ち合わせした際にイメージが変わってしまわない程度にですが下書きをします。とは言ってもかなりラフな下書きが多いです。自由に描く際には殆ど下書きはしません、大まかな画面配置のみになります。ここには何を描くと決めて丸だけ描く程度です。なので時折絵の雰囲気に変化がない細部に関しては描いている際に一部変更する場合もあります。
— 今回は、いつものようなPC着色ではなくマルチライナーを中心に使用されましたが、どうでしたか?
奥田:普段は線画に着色をさせて頂いておりますが、今回はマルチライナーの良さをより引き出せるよう白黒の作品でより細かく描かせて頂きました。細かい線を描く事はもちろん、それを引き立たせる為の強く太い線も自由自在に描く事ができ、自分の表現したいイラストが思った通りに制作できる画材で、とても重宝させて頂いております。ちなみに、今回使用した線幅は0.03~0.5になっております。絵ならではの線という要素を引き立たせるすばらしい画材ですので、線画・ペン画に興味のある方は一度お使いいただく事をお勧めします。
コピックマルチライナー:各200円(税別) ストアで表示
耐水性の顔料インクを採用した、コピックににじまないラインドローイングペンです。
多彩な表現を提供する豊富な線幅や色が揃っており、ブラシタイプもラインナップ。イラスト、まんが、ペン画に最適で、模型のスミ入れにも便利です。